臨床心理シランの室です。
　
　お父さんは家族以外の人に対してはどのように振る舞っていますか。
常識的な対応ですか、それとも家族と同じような対応ですか。社会人ですから、外部の人に対しては常識的な対応ですよね…。

　そうだとすれば、お父さんはメンタルが強いというより、それは表面的にそう見えるだけで、本当は、人間としては弱い人です。心もメンタルも弱さをもった人です。弱いから強がり、虚勢を張るのです。力がないから暴言に走るのです。何かあったときにその弱さは露呈されるでしょう。

　本当に心の強い人は優しさを内に持っています。偉人達をみればそれはわかります。迫害を受け続けても、人々のために戦い続ける。最悪の事態になっても、他者への思いやりや優しさを失わず、自らの命を懸けても人々を守ろうとします。ガンジーしかり、キング博士しかり、ナイチンゲールしかり、野口英世しかりです。優しさの裏にはしっかりとした信念や心の強さがあるからです。

　残念ながら、今のお父さんは、妻や子どものような弱い立場の家族に対して暴言を言いふらし、結果的に傷つけています。「機嫌が悪い」「思い通りにいかない」ときに暴言を吐くとすれば、自己コントロールもできていないということです。あるいは弱い家族に対しては思いやる必要も感じていないのかもしれません。
　
　いずれにしても父親という権力、男という権力で弱い家族を押さえつけようとする心の弱さが見られます。きっとお父さんは寂しい人ですね。甘やかされて育てられ、本当の人間の愛情や優しさというものを知らないのかもしれません…。

　あなたは思春期・青年期の年頃でもあり、そんな父親を今すごく軽蔑していると思います。しかし、妻に逃げられ、娘たちにそっぽを向かれれば、お父さんはますます立つ瀬がなくなり、言葉で強がるしかなくなるでしょう。今はそんな心理ではないでしょぅか…。

　周りの家族がお父さんに対して優しさや愛情をもって接することが必要でしょう。そしてお父さんの機嫌のいい時に、家族の誰かが、お父さんに対して、「死ね」などの言葉が家族を傷つけていることを話せば、お父さんもきっとわかってくれ、改めてくれると思いますよ。真心はきっと伝わるはずです。
　
　お父さんを家族から「心の孤立化」させないことです。
本当は父親が家族をいたわり守らなければならない立場なのに、それができていません。そこにもお父さんの弱さが見られます。ですから今は周りの家族がお父さんを支えてあげなければいけないときです。大変でしょうがお父さんの置かれた立場、心理を理解し優しく接してあげてください。そうすれば、お父さんの暴言は消えると思います。

お父さんの立場に立って、あなた自身が考えてみてください。あることに対して怒っているということは、そのことが気になっているからで、どうして気になるかは自分自身がそういう欠点を持っているからなことが多いです。
こういう気持ちなのだなと理解はしてあげてください。だからといって納得したりする必要はありませんし、合わせてあげる必要もありません。